【短編】貴方だけを愛しています
「感心したくないけど、神経が凄いわね。認めたわよ、あっさり」



「その前に来るかも知れねぇぞ!」



「来たところで追い返せば良いのよ」



「親父の愛した女は、妙なところで肝が据わってんな」



「お前そっくりだろ」



「俺は唯来以外に怖いもんねぇよ」



「ご馳走様でした。お風呂お先に」



「そんな焦らなくても。ゆっくり食べたら?」



「咲来が来る前に部屋に行っておきたいから。お兄様、後はよろしく」



「……へい;;」



1人先に食事を終え、リビングダイニングを出る。

お風呂を済ませ、ルームワンピに着替えて2階へと上がる。

お手伝いさんが持って来てくれたミネラルウォーターを飲みながら、エアコンと電気ストーブで暖かな部屋で、テレビも本も見ずにベッドでボーッと過ごす。



「……たっちゃんもお風呂済んだの?」



「約束しただろ」



「約束はしてない;;」



しばらくして開いたドア。

入って来たたっちゃんに声を掛けると、後ろ手で鍵を閉めてベッドへと来た。



「でも、たっちゃんの顔を見るとホッとする」



「俺は可愛いと思う」



「私だって、格好いいと思ってる」



2人並んで座り、肩に凭れながらちょっと恥ずかしい会話。
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