【短編】貴方だけを愛しています
「共に過ごすと似るんでしょう。唯来は周りの野郎がほっとかない位、俺たちが心配になる位、良い女になりました」



「おい;;」



「事実だろ?」



反応に困ってると、お父さんとお母さんの間でふんぞり返って座ってる将也お兄様が口を開いた。



「えっ;;」



「まあまあ」と纐纈の父がその場を収め、朝から配られる紹興酒を受け取ろうとすると、何故かたっちゃんが手で制した。



「お前だけ呑むなよ」



「アルコールで暖をと」



「ジャスミン茶とウーロン茶下さい。ウーロン茶はアイスで」



「すぐお持ち致します」



「将也君。どちらのお嬢さんを選ぶか決めたかい?」



私たちの飲み物が届いたところで乾杯し、運ばれて来た前菜を食べてると、また的渕頭取が口を開く。



「決めたと言えば決めました。結婚するかは別として」



「これ美味しいの?」



「慧斗君はどうなんでしょうか」



「わからんな」



進む会話を聞きつつも、美味しくも不味くもない和え物についてたっちゃんに声を掛けると、同じような反応。



「唯来さんが、良いと思います」



「「「『――っ!!?』」」」



「バンバンジーが良かったね」



「指名されてる」



「ん?」



和え物の主役であるくらげをスプーンに除け、たっちゃんに押し付けてると、よくわからない展開に。
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