【短編】貴方だけを愛しています
「奥様、お食事どうなさいますか?」



「莉帆さんたちもまだでしょう。ご一緒しませんか?」



「「ありがとうございます」」



何があろうと、人はお腹が減る。

目の前でグツグツ煮えるすき焼きは、今日の事をわかってたような晩ご飯。



「たっちゃん、椎茸食べてあげようか?」



「わざと入れただろ」



「へっ?何の事?」



「達也、俺が椎茸を食べてやるから、この春菊頼むぞ」



「お兄様っ!」



「何だよ!」



「鎖に繋がれた盛りがついた犬のようなノッポの口臭い飢え飢えお兄様?」



「増やしやがったな、この甘ったれ女!」



「ドM男に言われたくない!」



「唯来」



「ん?何?」



「椎茸入った」



「豹変しやがったな!」



「春菊、食べてあげようか?ん?この私が食べようか?」



「お前に食わせる春菊はねぇ!」



「たっちゃん、あーん!」



ーーバシ…ッ



「グブッ!!;;ったー!!?;;」



「「マサっ!!」」



「何すんだ、兄貴!」



「女の子を叩かない!」



「うぅーっ……;;」



勃発した兄妹喧嘩。

でも、たっちゃんの機転で収まったと思えば、思い切り高等部を平手で叩いて来た。
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