【短編】貴方だけを愛しています
「僕と結婚して下さるなら、受け入れま――…」



「一つ目。私は一生、貴方を愛す事はありません」



「まあそれは、僕を知って頂ければ――…」



「貴方には、私の想い人に勝る魅力は何一つありませんよ」



「…………」



「二つ目。跡継ぎを望まないで下さい」



「唯来さん?それはどういう……;;」



「私には、指一本触れて欲しくないと言う事です」



「それでは困るわ!跡継ぎが出来なければ、慧斗の代で終わるのよ?」



「お兄様たちを守る為、私は気持ちを押し殺して頷いたんです。譲歩して頂いても、良いのでは?纐纈家の皆さんも、私のお陰で運は更に良くなるかも知れないのに、味方して頂けないんですか?」



「「…………っ」」



「お父様!私が嫁ぎます!あの子の態度、何とかして下さい!」



「私でも構いません!何で唯来が見初められるだけでなく、あんな偉そうに言われなければならないんですか!」



「……的渕さん」



「何だろうか;;」



「妹は、しなくても良い辛い経験をたくさんして来た。それなのに、今度は俺らのせいで苦しめる事は、兄貴として出来ねぇ」



「そうかも、知れないね……」



…何を、言うの?
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