Memorable
第二章
とても快適で広い車内だったが、秋久と二人きりという状況が居心地悪く、私は外の景色を見ていた。
結婚の話が出るまでは、特に会話に気負うこともなく、使用人として徹していればよかったので気楽だった。
今も仕事なのは変わらない。そう言い聞かせても、秋久の体温がすぐ近くに感じられるその事実が、私の心を落ち着かせてはくれなかった。
「古都、とりあえずここは仮住まいだから」
「はい」
住む場所など、私は小さな部屋一つあれば平気だ。荷物もこれだけしかない。
そう思いながら返事をして数分、都心にもかかわらず緑の木々に囲まれた場所へと車は入っていった。
徹底したプライバシー管理がされているようで、外からは中がまったく見えない。門が自動で閉まると、少し先にモダンな低層階の建物が見えた。グレーとブラックを基調としたその建物は、まるで高級ホテルのエントランスのようだった。
結婚の話が出るまでは、特に会話に気負うこともなく、使用人として徹していればよかったので気楽だった。
今も仕事なのは変わらない。そう言い聞かせても、秋久の体温がすぐ近くに感じられるその事実が、私の心を落ち着かせてはくれなかった。
「古都、とりあえずここは仮住まいだから」
「はい」
住む場所など、私は小さな部屋一つあれば平気だ。荷物もこれだけしかない。
そう思いながら返事をして数分、都心にもかかわらず緑の木々に囲まれた場所へと車は入っていった。
徹底したプライバシー管理がされているようで、外からは中がまったく見えない。門が自動で閉まると、少し先にモダンな低層階の建物が見えた。グレーとブラックを基調としたその建物は、まるで高級ホテルのエントランスのようだった。