Memorable
Side 秋久
目の前で綺麗な所作でディナーを食べる古都を見ながら、俺は内心で小さなため息をついた。
シンデレラのようにエスコートして、ドレスを着て出かけることは、古都の憧れだと思っていた。
小さい頃からずっとおとぎ話が好きだった古都。
しかし、目の前にいる彼女は、俺との適度な距離を保ち、表情を崩さない。

俺の知らないところで、古都は自分の立ち位置を理解し、こんな結婚も仕事の一環だと考えているのだろう。
それも、大友家との関係を考えれば当然かもしれない。古都の父は、俺から見ても従順すぎるほど大友家に仕えることを使命としている。
だから、こんな結婚にも異議を唱えず、自分の娘を差し出したのだろう。

古都と再会して、彼女を知るたびに、俺は自分の独りよがりだったのではないかと感じ始めていた。


この結婚が俺のビジネスにおいて大


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