稲荷寺のパラレル少女
途端に頭に血が上るのを感じた。
こっちの世界の英也たちはやっていいことと悪いことの区別もつかないみたいだ。
「お前らっ!」
声を上げて立ち上がろうとしたその瞬間、右手からすごいスピードで電車が迫ってくるのが見えた。
線路からゴーッ! という、タイヤの振動が伝わってくる。
思わず息を飲んで、動きを止めてしまった。
早く逃げないといけないと思うのに、体が動いてくれない。
一瞬にして全身から汗が噴出していた。
唖然としている間に2人は良介に背を向けて歩き出す。
それはまるで何事もなかったかのように。
なにもしていないかのように。
とても自然な動きだった。
嘘だろ。
こんなの何かの冗談だ。
すべての時間が停止してしまったように感じられる。
すぐに逃げないとと思う自分と、それに反応できずにいる自分。
走ってくるのは蒸気機関車によく似ているけれど、少しだけ線路から浮いているところまでちゃんと見えていた。
それなのに反応できずに座り込んでいる
こっちの世界の英也たちはやっていいことと悪いことの区別もつかないみたいだ。
「お前らっ!」
声を上げて立ち上がろうとしたその瞬間、右手からすごいスピードで電車が迫ってくるのが見えた。
線路からゴーッ! という、タイヤの振動が伝わってくる。
思わず息を飲んで、動きを止めてしまった。
早く逃げないといけないと思うのに、体が動いてくれない。
一瞬にして全身から汗が噴出していた。
唖然としている間に2人は良介に背を向けて歩き出す。
それはまるで何事もなかったかのように。
なにもしていないかのように。
とても自然な動きだった。
嘘だろ。
こんなの何かの冗談だ。
すべての時間が停止してしまったように感じられる。
すぐに逃げないとと思う自分と、それに反応できずにいる自分。
走ってくるのは蒸気機関車によく似ているけれど、少しだけ線路から浮いているところまでちゃんと見えていた。
それなのに反応できずに座り込んでいる