稲荷寺のパラレル少女
誰もキミコの行く先を突き止めることはできなかった。
そうしてたどり着いたのが、この町だった。
この町に来てボロアパートを借り、そして女の赤ん坊を産んだ。
子供の名前はヨシコと名づけられて、キミコと周りの人たちによって大切に育てられた。
思い切って家を出てきてよかった。
ヨシコはすくすくと成長して、キミコもどうにか簡単な仕事につくことができた。
裕福な暮らしではなかったが、あのままヨシコを堕胎することになることを考えると、遥かに幸せな暮らしができていた。
しかし、それすら長くは続かなかった。
「ねぇ、お母さんは自分のお母さんを捨てたの?」
ある日の夕飯時、ヨシコが突如そんな質問をしてきたのだ。
欠けた茶碗にご飯をよそっていたキミコは動きを止め、目を丸くしてヨシコを見た。
「どうしてそんなことを聞くの?」
「隣のおばちゃんが言ってた。お前のお母さんは両親を捨てて来たんだって」
いくらスマホがなくても、情報は千里を歩く。
ついにキミコの噂はこの町にも到達してしまったのだ。
そうしてたどり着いたのが、この町だった。
この町に来てボロアパートを借り、そして女の赤ん坊を産んだ。
子供の名前はヨシコと名づけられて、キミコと周りの人たちによって大切に育てられた。
思い切って家を出てきてよかった。
ヨシコはすくすくと成長して、キミコもどうにか簡単な仕事につくことができた。
裕福な暮らしではなかったが、あのままヨシコを堕胎することになることを考えると、遥かに幸せな暮らしができていた。
しかし、それすら長くは続かなかった。
「ねぇ、お母さんは自分のお母さんを捨てたの?」
ある日の夕飯時、ヨシコが突如そんな質問をしてきたのだ。
欠けた茶碗にご飯をよそっていたキミコは動きを止め、目を丸くしてヨシコを見た。
「どうしてそんなことを聞くの?」
「隣のおばちゃんが言ってた。お前のお母さんは両親を捨てて来たんだって」
いくらスマホがなくても、情報は千里を歩く。
ついにキミコの噂はこの町にも到達してしまったのだ。