トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜


でも、そんな俺とは対照的にさくらはその場で固まっていた。
マスクも外しっぱなしで瞬きもせずに俺を見ている。
俺はさくらの右横の髪を耳にかけ、左の耳にぶら下がっているマスクを丁寧にもとに戻した。
それでも、さくらは動かない。

俺はそのままテーブルに戻り、コーヒーを飲んだ。
そして、突っ立っているさくらにここへ座るように手招きをする。
さくらは小さく深呼吸をして、ゆっくりと俺の正面の椅子に腰を下ろした。
そして、俺を静かに見つめる。

「明日、俺の知り合いの美容皮膚科医にその顔を診てもらう。
だから、明日は仕事を休むこと」

「え? 明日? 
無理です。だって、昨日も休みをもらったのに」

さくらの困惑するのも分かるけれど、でも、それはもう決まっている事だ。

「大丈夫、鰺坂さんには俺の方から言っておく。
それと、俺もそこに一緒に行くから、明日、朝の九時に本館のロータリーの所まで来てほしい」

「え… でも…」


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