トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜


「専務… 夢みたいです…
こんな凄くて、素敵な場所に…
お招きいただいて、本当に、ありがとうございます…」

さくらは興奮が止まらない。
俺にそう話す時も、息継ぎをどこでするのか忘れているみたいだ。
そんなさくらとは対照的に、唱馬は冷めた目で俺を見ている。
まるで、俺の考えてる事は全てお見通しと、半分挑発しているようなそんな目をして。
でも、俺はそんな唱馬は無視をする。
今回の唱馬の立ち位置はただのおまけでしかない。
おまけか、そこに座るただの人形か?

子供の頃から、唱馬の事はよく分かっている。
恵まれた環境で育った完璧なお坊ちゃんの唱馬は、ただただ単純で純粋でしかない。
それは、俺が手に入れたくても手に入れられない羨ましい限りの唱馬の持ち味だ。
一人っ子の俺にとって、唱馬はいつでも弟だった。

「わ、私、京都が好きな理由は、こういう風に百年以上の歴史を持つお店だったり、色々な施設が多いからなんです。
この場所に、幕末の志士が訪れていたかと思うと、もう震えが止まりません…」

俺はにっこりと微笑んだ。


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