トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜


そして、食事の間は、険悪なムードになる事だけは避けたかった。
ここの料亭の美味しい料理を堪能して、そして、この場所での出来事をいい思い出としてさくらの記憶に留めてあげたい。

日本酒をお猪口で一杯飲んだだけなのに、さくらの顔は真っ赤だった。
すると、突然、今まで黙っていた唱馬が口を開く。

「慈恩…
僕は、さくらと付き合い始めたんだ。
その事は頭の中に入れててほしい。
これ以上、さくらを惑わせないで…」

俺は唱馬の言葉はスルーする。
その話は、今じゃなくていいだろ?と、目で訴えながら。

そろそろ、おまかせコースのデザートで出てくる頃だ。
俺は二人にコーヒーでいいか聞いてみる。二人とも静かに頷いた。
今日のデザートは、真っ赤な紅葉の葉っぱの上に栗きんとんとわらび餅がのったものだった。
真っ赤な紅葉が浮き出して見えるのは俺の気のせいか?
いや、その前に、時期が時期なのだからしょうがないけれど、何故、ここに紅葉がいる?
あまりにタイムリー過ぎて笑うに笑えない。
いや、デザートを見て、笑う方が変なのだけど…


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