トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜


コーヒーとデザートが並べられ、三人の間に気まずい空気が流れる。
今のさくらは紅葉のせいで赤くなった顔が、さらにお酒で赤くなり、そして紅葉のデザートを前にしてまた赤くなっている。
俺はこの沈黙が耐えられず、いや、笑いを堪えるために、デザートには手を付けずにコーヒーを飲んだ。
いくら空気が読めない俺でも、この場で笑ってしまう事だけは絶対にNGだという事は理解している。
すると、真っ赤な顔をしたさくらが笑顔でこう言った。

「紅葉の葉っぱには何も罪はないので、皆さん、美味しくいただきましょう」

そして、幸せそうに大きな口で栗きんとんを頬張った。
その後のさくらの笑顔は何といえばいいのだろう。
歪んだ俺の心に、ほっこりとした栗きんとんのような、悶絶するような甘い癒しを散りばめてくれる。
きっと、唱馬だって同じ事を考えている。
この不思議な可愛らしさがさくらの最大の魅力で、そして、ここにいる血のつながった野郎二人を一瞬で悩殺する。
それも、いとも簡単に。


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