トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜


「お、お待たせしました…」

俺が馨月亭本館のスタッフ駐車場に車を停めて待っていると、さくらが時間より三分早く到着した。
俺は馨月亭本館のロータリーで待ち合わせをしたかったのだけれど(主要道路に直結している)、唱馬のできるだけ目立たないでくれというお願いを今回は聞き入れた。
俺達二人は、そうやって当たり前のように、さくらを世間から守っている。

俺は車の外に出ると助手席のドアを開け、さくらにどうぞと乗るよう促した。
実家にある数台の車の中から、今日はミニクーパーを選んだ。
さくらの雰囲気に合ってるし、あまり大げさにしない方が二人のためだと思ったから。

「可愛い…
専務の車とは思えない…」

そんな皮肉のような本心の言葉を口にしながら、さくらは車に乗り込んだ。

「十時に予約を入れてある。
それまでたっぷり時間はあるから、カフェに寄ってコーヒーでも買おうか?」


< 114 / 180 >

この作品をシェア

pagetop