トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜
でも、さくらはコーヒーを手に持ったまま、俺の口が開くのをずっと待っている。
それも、また顔をすごく近づけて。
「そんなに顔を近づけて、コーヒーより俺のキスがほしいの?」
「ち、違います…」
さくらは、今、自分の行動に気付いたみたいで、慌ててマスクを取ってコーヒーを飲んだ。
その顔はまた真っ赤だ。
もう、可愛くてしょうがない。
「俺の瞳の色はベースは黒だけど、でも、緑にもブルーにも変わるんだ。
それは、俺のマミーがイギリス人だから」
さくらは、驚いたような、でも、納得したようなそんな顔をしている。
「だから…
専務のお顔はすごく美しいのですね…
私から言わせれば、びっくりするほどの美男子です。
特に、専務の瞳には…
いつも惹きつけられて、見つめられたら、体が固まっちゃうくらい…」
俺はコーヒーをホルダーに置くと、さくらの顔を俺の方へ向ける。
「体が固まっちゃうのは、いい意味で? それとも悪い意味?」
さくらは黙っている。
でも、その潤んだ瞳を見ていると、いい意味に決まっている。
そして、俺は、改めて、さくらの荒れた肌をちゃんと見た。
胸の奥の方が後悔の念で押しつぶされそうだ。