トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜


さくらは嬉しそうに上目遣いで俺を見る。
完全に俺の恋心を弄ぶ術を、さくらは無意識のうちに身につけている。
そのキュートな視線に、ぞわぞわ感が止まらない。

コーヒーを飲み終わってマスクを付けたさくらを確認した後、俺は車を走らせた。
さくらは、ずっと外の景色を見ている。
俺はこの重たい空気を追い払うために、自分の家族の事を話し始めた。

「俺は日本人とイギリス人とのハーフ、でも、見た目は親父が強いのかなって思ってる。
日本人の友達はわざわざ教えないとハーフって気付かない人が多いんだ。
だから、さくらの洞察力には驚いたよ。
瞳の色を当てるんだから」

俺は、穏かな気持ちの中で自分の事を話していた。
小春日和の柔らかい陽ざしに身も心も預けたくなる。
この居心地の良さは何なのだろう。
隣のさくらに目をやると、やっぱり俺の横顔をジッと見つめていた。
よっぽど、俺の顔が好きらしい。

「専務は、今、京都のご実家にいるんですよね?」

「そうだよ」

さくらは何かを言いかけて止めた。


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