トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜


その何かは俺にはさっぱり分からない。

「でも、久しぶりに日本に帰ってきて、まだ、あんまり楽しいとは言えない。
これからは、ずっと、ここに住まなくちゃならないのにね」

さくらはキョトンとした顔をしている。

「で、でも、ご両親が近くにいることは幸せです。
私は一人暮らしを始めて、やっと両親のありがたみに気付いたくらいだから」

そう、さくらの家族は絵に描いたような幸せ家族。
この間、話を聞かせてもらっただけで、さくらのご両親のファンになった。
そんな風に環境も精神的にも恵まれたさくらは、いつも暖色系のオーラを纏っている。

「うちの家は、ちょっと複雑で、俺のマミーは、俺が小学生の時にイギリスに帰ったんだ。
ま、いわゆる、離婚ってやつ。
自由を愛する外国人が、自由のないところに嫁いできてしまった。
特に、京都で、代々続く旅館に。
ストレスのせいで、半分、病気になっちゃったんだ」

さくらは瞬きもせずに俺の話を聞いている。


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