トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜
慈恩への膨らむ愛情
「さくらちゃん、お疲れ様。
あと、この後、専務と話す機会があったら、鰺坂さんが、少しだけだけど、見直しましたって、伝えといてね」
私は困ったように微笑んで、ロッカールームでたまたま居合わせた鰺坂さんにお辞儀をした。
今日、私は専務に連れられて、この界隈では中々予約が取れない事で有名な美容皮膚科へ行ってきた。
専務のお友達だという優しそうな浅見先生という女医さんが、私の担当になってくれた。
浅見先生は、私の顔を診た途端、大きくため息をついた。
「慈恩って最低な男だね」
紅葉パックの件をどこまで知っているのか知らないけれど、専務の事を悪く言われる事はいい気持ちはしない。
でも、だからといって、何も言えない。
「ま、だけど、そういう完璧じゃないところが、彼の魅力でもあるんだけど」
浅見先生は私の顔や首元の湿疹を確かめ、うんと大きく頷いた。
「何か所かひどく腫れた部分があるけど、でも、私が完璧に治します。
このタイミングでここへ来てくれてよかった。
跡がしっかり残ってからだと治療もたいへんになるしね」