トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜


専務は唱馬がいない事を知っていたのかもしれない。
ううん、それとも、専務の事だから、唱馬が居ても居なくてもお構いなしなのかもしれない。
でも、だけど…
今夜、唱馬がいなくて本当に良かった…

「お、来た」

専務は私を見つけると、そう呟いて笑った。
コンビニの駐車場の一番奥にミニクーパーが停まっている。
私はそこを目指して早歩きで歩いた。
助手席側のドアにもたれかかっている専務は、眩しいほどにカッコいい。
ネクタイだけ外したスーツ姿の専務は、朝の格好と全く同じ。
私達は、一日に二回会おうとしている。

「唱馬の許可は下りたのか?」

そんな事を聞いてくる専務は、やっぱり意地悪だ。

「今日は、唱馬さんとは会いません…
親戚の人が来てるとかで…」

そんな事を言いながら、私は私自身に嫌気がさしていた。
唱馬と私の関係が本当の恋人同士なら、私は最低な事をしている。
そんな私のくるくる変わる表情に気付いたのか、専務は助手席のドアを開け中へと手で誘ってくれた。
私はあまり考え込まないようにして、助手席に腰を下ろす。

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