トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜
「薬はちゃんと飲んだ?」
「へ?」
「へ?って。
浅見にもらった薬はちゃんと飲んだのか?」
私はようやく現実に気付いた。
専務に会おうと言われ、ただ専務の事だけを考えてここまで来た。
「あ、まだ、ご飯を食べてなくて…
だから、まだ薬は飲んでません」
専務は目を細めて私を見ている。
おっちょこちょいの私に愛想をつかしているのかも。
「薬は? バッグに入ってる?」
私は首を横に振った。
専務は呆れるどころか楽しそうに笑っている。
「今から少しだけ俺の用事に付き合ってくれる?」
今度は縦にブンブン首を振る。
専務と一緒に居たい… その気持ちは隠せないほど前へ出たがった。
専務は唱馬の事なんて何も気にしていない。
私はそんな専務ついつい甘えてしまっている。
「ドライブっていってもそんなに遠い所じゃないんだ。
さくらもご飯を食べてないんだったら、何か食べ物を買おう。
その後で、さくらの家に寄って薬を取ってきて。
ちゃんと薬を飲ませないと、浅見に怒られるからさ」