トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜
専務はハンドルをしなやかに切りながら、そう言ってはにかんだ。
専務の車に私の体はしっかりと馴染んでいる。
もっと言えば、専務の隣の助手席に…
車の中は綺麗に整頓されていた。
BGMはお昼もそうだったように、洋楽がテンポよく流れている。
夜の京都の街並みは、私にとっては新鮮だった。
何も縁のない京都の街に越してきて三年になるけれど、車でどこかへ出かける事は今日が初めてだ。
専務は、特に何も言わず、楽しそうに歌を口ずさんでいる。
耳を澄ませてその歌声を聞けば、専務の英語の発音はネイティブそのものだった。
サンドイッチとコーヒーを買い、ちょっとだけおやつも買った。
どこへ行くのか知らないけれど、とにかく心が躍ってしょうがない。
私は何度も深呼吸をして冷静を取り戻す。
専務に好き好きモードが伝わらないように、必死に心を落ち着かせている。
「あれ? この道」