トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜
細くなっていく道を見ながら、私は見覚えがある事に気が付いた。
「やっと気付いた? 遅いな~~」
専務はそう言いながら左手で私の頭を優しく撫でた。
「もうすぐ着くからさ。
目を凝らして、よく見といてよ」
私はそこがどこかもうはっきりと分かっている。
「で、でも、そんなに車でどんどん入っていって、大丈夫なんですか?」
私は道なき道を容赦なく車で入って行く専務に、恐る恐るそう聞いた。
「大丈夫だよ、俺を信じて」
専務のその言葉は魔法のように真っ暗な闇に溶けていく。
車は何度もバックと前進を繰り返して、ようやく定位置に着いた、らしい。
「車の窓を開けて」
私は慌てて助手席側の窓を全開にした。
夜の冷気が温まっていた車の中を一瞬で冷やす。
そして、専務は私を車に残し、どこかへ向かって歩き始めた。
「いくよ~~」
専務の声が聞こえたと同時に、その空間は眩いほどにライトアップされた。