トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜
そこは京極家が所有している山の中、そう、山々の緑は燃えるように真っ赤に紅葉し、前に専務と紅葉狩りに来た時よりも、遥かにゴージャスで満開だった。
私は息を飲んだまま、その美しさに魅了されている。
専務が車に帰って来た事にも気付かないほど。
「すごく綺麗…
こんな驚く仕掛けがあったんですね…」
京都にはたくさんの紅葉スポットがある。
こんな私でさえ、何か所かそういう場所を巡ってため息がでるほどの紅葉を目にしてきた。
でも、くらべものにならない。
だって、ここに見える空間は、ありのままの自然が作り出した神様からの贈り物だから。
「この仕掛けは、俺の親父が家族のためだけに、この美しさを堪能してもらうためだけに作ったんだ」
「家族のためだけに?」
「そう…」
専務は私の肩を自分の元へ引き寄せた。
私は専務の吐息をすぐに感じられる近さに、心が溶け出していく。