トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜
私は、ただただ忙しくしていたいだけだった。
現実逃避をするには、頭を他の事でフル回転させるしかない。
真っ暗な図書室の隅っこだけライトを照らし、私は黙々とパソコン作業に打ちこんだ。
一時間の休憩時間を過ぎるわけにはいかないので、前もってアラームをかけていた。
でも、アラームとは違う着信音が静かな図書室に鳴り響く。
私は、すぐに専務だと分かった。
スマホを留守番設定に変える。
スマホはしばらく鳴り響いた後、自動的にメッセージを入れる音声に切り替わった。
でも、専務は何も言わず電話を切った。
たったそれだけの事なのに、私の心臓はバクバクと脈打っている。
破裂しそうなほどに。
私は集中力が途切れ、切りのいいところで作業を終える事にした。
休憩時間が終わるまでまだ十五分ほど時間が残っている。
私はその場で持って来ていたペットボトルの緑茶を飲み干した。
すると、誰かが図書室のドアを開ける音がした。
私は、すぐに、それが専務だと分かった。
その足音は、図書室の隅の小さな灯りに向かっている。