トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜


私があたふたする間もなく、専務は私の目の前へ来てその場にしゃがみ込んだ。

「お疲れ」

椅子に座っている私より低い位置にいる専務は、私を見上げてそう言った。
その姿は何とも可愛らしい。
私が黙っていると、専務は目を細めて私を見る。

「揉めてるんだろ? 唱馬と」

専務の言葉に棘はない。
淡々と穏やかに、私にそう問いかけた。
私は専務の真っ直ぐな視線から逃れたくて、顔を横に向ける。

「そんなんじゃなくて…」

どう説明すればいいのか分からない。
恋愛のルールからは相当外れている私の立ち位置は、何を言っても説得力を持たない。

「そんなんじゃないのなら、何でそんなに苦しんでるの?」

そう問いかける専務の瞳は本当に優しかった。
私を責めていない事はすぐに分かる。
でも、その瞳の奥に寂しさも見え隠れする。

「唱馬を… 傷つけたくないんです…
この数日で、私たちの距離は一気に縮まって、もう恋人同士の関係になってて…
そうなった以上は、簡単にさようならは言えない事に、昨日、気付いて…」


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