トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜
「あの後、唱馬と会ったんだ」
私は正直に頷いた。
「家で、私の事を待っていてくれて…」
しゃがみ込んでいた専務はゆっくりと立ち上がり、天井を仰いだ。
そして、小さく息を吐き、もう一度私を見つめる。
「で、その晩も、唱馬と寝た。
だって、恋人同士だもんな」
専務のその言葉と表情に優しさのかけらもなかった。
私を見つめるその瞳は、雄の狼のように鋭い。
「俺はさくらと気持ちで繋がりたいと思ってる…
身体の関係よりも、その方が本物だろ?
だけど、その消極的なやり方が通用しないのなら、俺はどんな手段を使ってでも唱馬からさくらを奪う。
さくらが、俺の事を想っていてくれてる事が前提だけどね」
専務の力強い言葉に戸惑う私がいる。
そんな私は、無意識のうちに首を横に振っていた。
「どうしたらいいのか、全然分からないんです。
何が正しいのか…」
そう呟く私の髪を、専務の細長い指がそっと触れる。
「正しくない事は、俺が全部引き受けるから、さくらは普通にしてればいい。
深く考え過ぎないで、心の赴くままに、ね」