トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜
さくらの家の近くのコンビニに車を入れ、ドリップ式のホットコーヒーを買い、また車へ戻る。
さくらの部屋の場所は知っている。
でも、まだ、その部屋の窓は真っ暗だった。
さくらを俺のものにしたい。
その単純で獰猛な感情のせいで、愚かな俺はこんな所で獲物を待っている。
唱馬というライバルを仕留めるために。
馨月亭の寮に住む人達には、くだらないルールがたくさんあった。
それは、この間、さくらに教えてもらったものだ。
寮に住んでいる人間は敷地内で移動ができるのに、メリハリをつけるため必ず敷地外の道を通ってそれぞれの職場へ通う事になっているらしい。
職場はすぐそこなのに、制服ではなくわざわざ私服で通勤する。
でも、さくらに言わせれば、自分のようにオンとオフが曖昧になってしまう性格の人間には、とてもいい事なのらしい。
という事で、さくらもこのコンビニの前を通って帰る。