トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜
「そう、おばあちゃんは、おじいちゃんの前から忽然と姿を消したんだ。
二人の結婚は周囲に大反対されてたから、おばあちゃんが自ら身を引いたらしい」
私は何も言えなかった。
遠い過去の話だけど、何だか身近に感じてしまう。
「だけど、おじいちゃんの執念が上回ったんだね。
それで二人は結婚できた。だから、僕が今ここにいる」
唱馬はまるで自分の事のようにドヤ顔になっている。
愛する人と結ばれたおじいちゃんの事を誇りに思っているに違いない。
「そのおばあちゃんの若い頃の写真が、京極家の本家に、いわゆる慈恩の実家なんだけど、応接間の一番目立つところに飾ってあった。
そこへ行けば、必ずその写真が目に入る。
大好きなおばあちゃんは、若い頃はこんな感じだったんだって、幼い頃からいつも思ってた」
「そのおばあちゃんに、私が似てるの?」
唱馬は楽しそうにうんうんと何度も頷いた。
「すごく似てる。だって、僕のここが破裂しそうだったから」
唱馬は自分の胸を指さしてそう言った。
そんな何気ない愛情表現にさえ、私の心はときめいてしまう。