トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜


私は唱馬に微笑んで見せた。
今、唱馬の腕に抱かれたくさんの癒しをもらっている私にとって、慈恩の存在は遠く感じる。
慈恩の事を、今は考えたくない。
弄ばれているとしても、からかわれているとしても、それは近い未来に知る事になるはずだから。
今は、唱馬の優しさに包まれていたい。

「唱馬…
明日は本当に病院に行くの?」

もう夜中の二時を過ぎているのに、私達はずっとイチャイチャしている。
シングルサイズのベッドの上で何度も抱き合って愛を確かめ合った。
もう引き返せないほどの優しい沼に嵌まっている。
百回キスをしてもし足りないくらいに唱馬を求めてしまう私は、恋愛初心者にありがちな、震えるほどの体験に思考回路を破壊されていた。
そんな中、一瞬だけ、現実に戻った。

「行くよ。
だって、その理由で有休をもらったんだから」

唱馬は少し眠たそうだ。
瞼がくっついたまま、中々開かない。


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