トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜
「時間はかかるけど、冷やしたら治まってくるから病院は行かなくても大丈夫…」
唱馬は理解に苦しんでいる。半笑いの顔が本当に可愛らしい。
「何で? 病院が嫌いなの?」
唱馬は面白がって私をベッドに引き寄せた。
私はペットボトルを持ったままシーツの中に潜り込む。
「病院…ていうより、注射が苦手なの…」
唱馬はクスクス笑っている。
笑われたって、怖いものは怖いのだ。
アレルギーが酷くなった時には、必ず注射を打ってきた。
注射を打てば治りが早いため、私の母は私の気持ちはお構いなしにいつも先生にそうお願いしてきた。
子供の頃の話だけれど…
「じゃ、注射はしないでくださいって、僕が言ってあげるよ」
「え? 唱馬も診察室に入るの?」
「だめ? さくらがそう言えないんだったらしょうがないじゃん。
でも、今は、即効性の飲み薬とかあるかもしれないよ。
僕が先生に相談してみるよ」
唱馬は本当に優しい。
あまりに優し過ぎるから、私は堕落してしまいそう。