トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜
慈恩の意外な恋心


昨日から明らかに体調が悪い。
頭痛はするし、二日酔いみたいに胸のあたりもムカムカする。
子供の頃は、そんな気分がすぐれない時は、よくフリージアの図書室へ行った。
あの古臭い本の匂いが頭や心をスッキリさせてくれる気がした。

「馨月亭を継ぐ準備を始めるなら、もう今のこの歳では遅いくらいだ」

そう家族に言われここへ戻ってきたけれど、頭が痛い事ばかりで、もうすでに逃げ出したくなっている。

そして、俺は今も図書室に来ている。
フリージアにはあまり顔を出したくないけれど、気分転換にはやっぱりここが一番だった。

「慈恩さん、大丈夫ですか?」

図書室の一人掛けのソファにもたれていると、フリージアの二宮さんが声をかけてきた。
フリージアのスタッフの中で、唯一、俺に優しくしてくれる二宮さんは、今日は図書室の担当らしい。

あの紅葉パックの出来事以来、フリージアの人間は俺の事を目の敵にしている。


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