トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜


「強引でごめんな。
でも、その顔がどうなってるのか知りたいんだ。
ほぼほぼ、俺のせいだから」

さくらは俺の隣で固まっている。
そんなに俺が怖いのか?
でも、そのおどおどした表情の中に、何だか目がウルウル見えるのは気のせいか?

「マスクを取ってもらえるかな」

俺は怖がらせないように精一杯の笑顔を作って、そうお願いした。

「慈恩様…
本当に大丈夫です…
慈恩様の発案した紅葉パックが悪いのではなく、私のこの極度のアレルギー体質が招いた事なので。
だから、何も気にしないでください。
この顔も見ない方が慈恩様のためです」

俺はさくらの話を半分聞きつつ、マスクの端から見える腫れた下瞼をジッと見ていた。
そして、俺はさくらの前髪をそっと払う。
どういう気持ちからなのかは分からない。
でも、優しくしてあげたいと思った。
触り心地のいい柔らかい黒髪を、もっともっと触れていたい。

「いいから見せて。お願い…」

俺はそう言って、そっと指先でマスクのゴムを外した。


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