トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜


さくらは俺の胸の中からするりと抜け出した。
そして、俺からどんどん離れていく。
泣いているのか笑っているのか、分からないような顔をして。

「…いいんです。
本当に気にしないでください…
で、でも…」

そう言いながら、やっぱりさくらは泣いているように見える。
マスクをしているせいで、よく分からないけれど。

「でも?」

俺がそう促すと、さくらは微笑んで俯いた。

「でも、慈恩様が、こんな風に謝ってくれて… 嬉しかったです…
あの時、パックの後…
何も言わずに居なくなったから…」

俺はあの日の記憶を呼び戻す。
確かに、パックに魅力を感じなかった俺は、さっさと本館の方へ帰った。
あの時の俺は、他の用事が入っている事を思い出して慌てていた。
そんな俺の態度で、さくらは傷ついていたのか?


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