トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜


「あの日、あの時間帯に用事が入っているのをすっかり忘れてたんだ。
急に思い出して、とっとと帰った。
もしかして、フリージアの人達はそれで俺の事を怒ってるのかな」

さくらは困ったように、また微笑んだ。
俺はそんなさくらの表情に釘付けになっている。
初めて会った時からそうだ。
このよく分からない感情に俺は振り回されている。
でも、可愛いと思うのは正直な気持ちで、それよりも愛おしいと思ってしまうのが厄介だった。

「ごめん、もう一回、顔の状態を見せてくれる?
跡が残るようだったら、いい病院を紹介したいからさ」

俺はさくらの前まで歩いていく。
さくらは「いいです、いいです」と後ずさりをしているけれど。
それでも俺はさくらの目の前に立ち、「お願い」と頼み込んだ。
本当は今の最悪な状態を写真に撮っておきたいけれど、それはさすがに絶対に嫌がるだろう。
ビフォーアフターを知るためにも、記憶に留めておくしかない。


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