トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜


さくらのデカ過ぎるマスクは、大きな瞳を更に大きく見せる。
そして、かなり主張をしている。
今も、きっと、「え? どういう事??」とでも思っているのだろう。
クルクル動き回る瞳は見ていて本当に面白い。

「な、何の話ですか?
今、話せないくらい、深刻な事とか?」

とりあえず、うんと頷く。
深刻な話かどうかは置いといて。

「早くして。コーヒーが冷めるから」

さくらは一礼すると、慌てて休憩室から出て行った。
どんな時でも律義な事はいい事だ。
俺は窓から見える外の景色を眺めながら、自分用に淹れたコーヒーを飲んで一息つく。
馨月亭を囲む山々は四季折々で色々な風景を見せてくれる。
そして、その中でも紅葉の季節は圧巻だ。
百年以上もここの旅館が愛されてきた理由の一つでもある。
そして、俺が、この先の馨月亭の未来を守っていかなきゃならない。
背負うものが大き過ぎて、俺は大きなため息をついた。


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