小さな願いのセレナーデ
瑛実ちゃんは「碧維が羨ましい」と。
「似てなくても、可愛がって育ててくれている碧維が羨ましい」と。
何となく彼女の言葉に、親との距離感が見えた。
「でも碧維は、顔は私にそっくりだと思うけど……」
「まぁ確かに、似てるか」
そうクスクス笑い、ようやく彼女の笑う顔が見れた。
「私ね、バイオリンが上手なお姉ちゃんが欲しかったんだ。嬉しい」
そう言って、毛布の中に潜り込んでいく。
──もう碧維のことがバレてしまった以上、私はこの家と関わっていかなきゃいけないのはわかる。
だけど私は、この家と…昂志さんと、離れようと決めていた。
──ずっと前、今日と同じ光景を見たことがある。
実家で暮らしている時、家には地元の老舗デパートの外商がよく訪れていた。
義理の兄、異父妹は親と一緒になって、楽しそうに商品を選んでいる。その姿を私は──遠くから眺めているだけ。
いつも私は、その中に入れて貰えなかった。
相応しくないから。安物でいい。
その刷り込みは、未だに私を苦しめる。
──あの中に、私が居る姿を想像できない。
「似てなくても、可愛がって育ててくれている碧維が羨ましい」と。
何となく彼女の言葉に、親との距離感が見えた。
「でも碧維は、顔は私にそっくりだと思うけど……」
「まぁ確かに、似てるか」
そうクスクス笑い、ようやく彼女の笑う顔が見れた。
「私ね、バイオリンが上手なお姉ちゃんが欲しかったんだ。嬉しい」
そう言って、毛布の中に潜り込んでいく。
──もう碧維のことがバレてしまった以上、私はこの家と関わっていかなきゃいけないのはわかる。
だけど私は、この家と…昂志さんと、離れようと決めていた。
──ずっと前、今日と同じ光景を見たことがある。
実家で暮らしている時、家には地元の老舗デパートの外商がよく訪れていた。
義理の兄、異父妹は親と一緒になって、楽しそうに商品を選んでいる。その姿を私は──遠くから眺めているだけ。
いつも私は、その中に入れて貰えなかった。
相応しくないから。安物でいい。
その刷り込みは、未だに私を苦しめる。
──あの中に、私が居る姿を想像できない。