小さな願いのセレナーデ
三年越しの
朝起きると、既に瑛実ちゃんの姿はなかった。
(時間……もう八時近い……)

時計を見ると、いつもなら朝食を食べてる時間だ。
少し頭は痛いが、立てない程ではない。
私は起き上がると、リビングの方に歩いていった。

「ママー」
「おはよう、晶葉」

二人は絨毯の上で、昨日外商の人から買ったおもちゃで遊んでる。パウポリスの発売されたばかりのブロックだ。
碧維は私と離れても、意外と平気になってきたみたいだ。前は離れるだけで、泣き叫んでいたけど。


「調子はどう?」
「まぁ、少し痛いけど、薬飲んだら大丈夫な程度」

彼は私の額に掌を当てる。
触れる指にドキッとなるが「……熱はない」と押し返す。
もうゆっくりと触れる感じではなく、躇い無く当たり前に触れるみたいな様子で、正直心臓に悪い。


「じゃぁ朝食食べれる?」
「食べれると思う……」
「テーブルの食べて。瑛実が作ったんだ」

さすがに空っぽの胃袋では、薬は飲めない。
ありがたくいただくことにした。
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