No rain,No rainbow


「…逃げたわけじゃ…、キス、が、足りないな…って…」

「…わっ!…」

「…きゃ!…」

律さんによって強く引かれた右手、勢い余ったはずみで、気がついたら律さんの胸に抱きしめられている。

その胸から薫るのは、私と同じボディソープ。

生々しい昨夜の記憶が一瞬で蘇る。

「…り…つ、さん…」

呟いた私に、

「…しーっ、動かないで」

くちびるに人差し指をつけてみせた。



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