No rain,No rainbow
「余韻に、浸らせて…」

昨日のあなたがあまりに可愛かったから。

律さんの胸の奥から響いてくる、声音。

耳をつけて、直接聴ける特典は、私だけのもの。

しばらくそのままの格好でいたら、またゆるい眠気がやってくる。

目を閉じかけた、その時。

「…で?なにが足りないって?」

私の言葉を一言も逃さない律さん。

こういうときは、恨めしい。

「ん?」

答えない私を、体を起こして頬杖をつきながら眺めている。


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