No rain,No rainbow
「…どうして、あなたが泣くの…」

困ったような律さんの声。

ぬくい親指がまた、私の涙をぬぐってくれる。

「一蓮托生です!!」

急に出た、私の大声に、びっくりした顔をしたあと、

「ほんっとにあなたは、演歌じゃないんですから」

笑ってくれて、ほっとする。

「…他のひとには何でもなく、笑い話みたいにして話せても、いろんな葛藤とか感情で、あなたには話せないこともあって…でもそれは決して、あなたを信用してないとかじゃ、絶対なくて…」

好きだから、なんです…

もう、どうしようもなく、あなたが好き、です。

このちいさな部屋に響いた律さんの好き、は、何よりも、尊い。


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