No rain,No rainbow
「思ったよりだいぶ早く、仕事が終わって。一刻も早くあなたに会いたくて。そしたら偶然、スーパーに入るあなたを見かけて、後をつけちゃいました」

もう、ストーカーみたいで自分でも笑っちゃうんですけど。

「オレがいないから、ご飯適当に済まそうと思ったの?」

私がカゴに入れたお惣菜を、もとの場所に戻しながら、律さんに言われた。

「だって、律さんと食べなきゃ美味しくないから…」

思っていたことを、そのまま口にしたら、

「…あなたってひとは本当に…」

「…い…ッ…?!」

素早く、鼻先を人差し指と親指でつままれた。

「…な!なんで、ッ…?!」

「…わからないとは、随分と鈍感ですねぇ…」

苦笑混じりの律さんは、

「他の人がいなかったら、鼻先齧ってますよ…?」

「……、」


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