No rain,No rainbow
シャーベットのスプーンを口に入れて、そのまま私にくちづけた。

少し苦くて、酸っぱいと思っていた、ピンクグレープフルーツのシャーベットは、

「…甘い…、」

律さんのキスがそうさせたのか、痺れるような甘さが舌の上に広がった。

味覚や、感覚さえも、すべてを、甘く変えてしまう律さんのキス。

このままどこまでも落ちてゆきたい、甘くて苦くて酸っぱい。

そのどれもがあっていいと、思える。

喜怒哀楽、そのどこの感情も受け止めるし、受け止めてくれる。

これだけの相手に、出会えた奇跡。

それを、ずっとずっと。

何よりも大切にしたい。

願った夜。






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