No rain,No rainbow
「…律さんがおじいちゃんになったときに、横にいられるのが私だったらいいな…とか…」

少し、俯き加減で足もとを見つめた。

律さんは今、どんな顔をしているのか、恥ずかしくて確認できない。

ふいに引かれた腕。

私と律さんの靴先がぶつかった。

気がつけば、律さんの両腕が私の背中を抱いている。

思いのほかの、その両腕の強さが嬉しくて。

「…律…さん」

耳元で囁いたら、

「…もう、誰が見てても、いい、です」

囁き返された。






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