No rain,No rainbow
「正論ばっかり言ってないで、オレの心配な気持ちを少しは汲みなさい」

わかった?

畳み掛けるように、紡がれた言葉は照れ隠しだって、わかる。

そんな律さんも可愛い。

「律さん、可愛いです、ね」

下から覗き込んだその顔は、心なしか赤くなっている。

「…それはそれは、ありがとう、ございます」

丁寧に頭を下げる律さんが、愛おしい。

思わず抱きついたら、受け止めるように抱き止めてくれる、律さんの優しさ。

この優しさは、私だけの、もの。

「…律さん、他の女子にあんまり、優しくしないで、ください、ね?」

思わず出た、そんな本音。

「お、嫉妬、ですか?」

「…嫉妬、です…」

「…随分とまた今日は素直、ですね…?」

「…たまには…」

なんて、私の言葉を聞いた律さんは、私の頭を優しく撫でてくれる。


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