No rain,No rainbow
ゆっくり顔を上げて、律さんと目を合わせた。

その瞬間、律さんの両目から、静かに流れる涙。

「…オレを、みてて…どうか、目をそらせないで。あなたには、全部を見せたいんです…」

静かな涙と、律さんの声が、このちいさな部屋を満たしてゆく。

それは、不思議とあたたかで。

私のこころまで、満たしてくれる。

「…律さん…」

ただただ、律さんの名前を呼ぶ。

それでいい。

それだけで、いい。


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