No rain,No rainbow
だから、私は今日も、律さんを律さんの涙を見つめ続ける。

ほんの数分、律さんのこころの中まで触れる瞬間。

見つめ合っているうちに、止まった律さんの涙。

その頬に残る涙の跡を、そっと人差し指で拭った。

その私の手のひらを、自分の手のひらで包んでくれた律さん。

「…前までは、…あなたに出逢うまでは」

私を見つめながら、話しだした律さんの目は、優しい。

「自分の存在意義、とか、自分の居場所とか。ずっとずっと探していて」


いつも不安で不安で仕方がなくて。



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