No rain,No rainbow
訳もなく、腕時計をちらちらと眺める。

約束の15時までには、あと5分もあるというのに。

毎日会っているのに、仕事で5時間会えないだけで、こんなにそわそわするなんて。

もう、生活の一部になっている、律さんとの時間。

結婚したら、もっとふたりの時間が増えるなんて。

楽しみすぎて、嬉しすぎる。

「なにを、笑ってるんですか?」

頭の上から降ってきた甘い声が、そのまま私の全身へ廻ってゆく。

その甘さに包まれながら、ゆっくり顔をあげた。




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