No rain,No rainbow
いちど捕らえられれば、2度と逃げ出せないことを知っている。

気がつけば、私の左側にはベッドサイドの壁。

右側は、私の手元に視線を送るふりをして、ぴったり私にくっつく律さん。

両側から挟まれて、すでに身動きがとれない。

右側からは、シャワーあがりでほかほかとした体温が伝わってくる。

こんなの、ズルすぎる…

平気なふりをして、ずいっ。音がしそうな勢いで、自分の右手を律さんの目の前に差し出した。

「わ、かーわい」

余裕しゃくしゃくの笑顔を浮かべる、私の律さん。







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