No rain,No rainbow
「では、誓いの言葉を」

賛美歌が響く、荘厳な空気が流れる白い空間で、牧師さまの声に促されて。

「新郎、桜井律は、一生をかけて、あなたをシアワセにすることを誓います」

律さんの声が、広いチャペルに響いた。

次は、私の番。

息を吸う。

「新婦、詩はどんな時も何があっても、あなたの隣でいっしょに、シアワセになることを誓います」

ふたりで、選んだ誓いの言葉。
 
微笑みながら律さんを見上げた。

「…律さん…」

思わず呟いたのは、律さんの目に溜まった涙のせい。

「…嬉しくて…」

そのひとことは、私をシアワセにしてくれる。

私たちだけ。

ふたりきりの結婚式はシアワセの色をして、続く。

 

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