No rain,No rainbow

「指輪の交換を」

リングピローに載っているのは、橘さんが私たちのために作ってくれた指輪。

7色の虹が現れる、ふたりだけの指輪。

照れくさそうに涙を指で拭った律さん。

その指が、私の左手を持ち上げる。

今まで何度も触れてきた律さんの手のひらは、今日もぬくい。

このぬくさに助けられて救われてきた。

憧れだった結婚指輪。

ううん。

ほんとうに憧れだったのは、こうして向かい合って優しさを分け合える相手に出逢えること。

それが叶った今を、なにより噛み締めて、いつまでも忘れずにいよう。

ぴったりと薬指に嵌った指輪を見つめた。


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