No rain,No rainbow
それを知ってか知らずか。

「どんなソファーにする?」

私の後ろから、いっしょに雑誌を覗き込む。

一気に上がる体温と心拍数。

心臓の音が律さんに聞こえてしまいそうで、いちど大きく息をする。

「ん?どうしたの?」

頬と頬が触れる距離でささやく律さんは、余裕の確信犯。

「…頬、が…」

「ん?なぁに?」

言いながら、私の頬に自分の頬をぴったりくっつける。

「……、」

言葉をなくす私と、

「ん?」

気づかないふりをする、意地悪な律さん。



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